フィルハーモニック・コーラス
第7回演奏会「ミサ・ソレムニス」
ベートーヴェンいわく「最も完成された曲」であり、肖像画でその手に持っている楽譜に「Missa
Solemnis」の文字が見受けられることなどからも、彼自身が生涯の集大成として大切にしていた曲であることがうかがえます。
冒頭に、「心より出て-願わくば、再び心に入らんことを」と記されたこの曲は、澄み渡った管弦楽の響きに誘われた声楽ソロと合唱の祈りの呼応によって始まります。その後、晩年のベートーヴェン特有の宇宙的なスケール感をもって合唱と管弦楽が怒涛の盛り上がりを見せたかと思えば、声楽ソロ、バイオリンソロによって心に迫る美しいメロディがたっぷりと歌われ、やがてすべては調和へと導かれます。
その様子は降りかかる幾多の苦難に立ち向かって生き抜いたベートーヴェンの理想と信念を体現するものであり、今を生きる私たちの誰をも力強く励ましてくれます。
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